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価格:¥ 660 ブランド:新潮社 発売日:2005-04 通常24時間以内に発送 大きい画像を表示 |
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面白かった。
読者に上手に考えさせる小説だと思います。
よく出来ているなあと感心しました。
本書「ラッシュライフ」には、
人生に関する深い感動があるわけでもなく、
巨大な謎を解く達成感があるわけでもありません。
物語を深く、謎めいてみせる技巧によって、
物語そのものが何だったのかを考えさせる、
寓話的な面白さがあります。
5つのストーリーを貫くのは、
何かを象徴するかのようなアイコン。
老犬、エッシャー展を開催する展望台、
「好きな日本語を書いてくてれ」と言う白人女。
読み進めていくうちに、
これらが何かを象徴しているかのように感じられます。
読者にちらっと「何かな?」と考えさせることで、
物語に奥行を与えています。
一方で説明されずに、
徐々に明らかになるのが時差。
時差が明らかになるのは、
複数の物語が繋がる時。
読了後、
私はエクセルのワークシートを連想しました。
映画でいうと「呪怨パンデミック」。
読者は、
個性や背景の異なる登場人物のうち、
誰かに感情移入できるのではないでしょうか。
私は豊田と黒沢に感情移入できました。
(河原崎と佐々岡夫妻は造形に失敗しているような。。。)
「高橋」と宝くじのエピソード、
郵便局強盗など、
荒唐無稽なストーリーを、
寓話的に見せていく実力はすごいなと思います。
面白い作品です。
オリジナルは2002年7月リリース。伊坂幸太郎の第2作(正確には1996年に『悪党たちが目にしみる』でサントリーミステリー大賞佳作を受賞しているので第3作、でもこの作品を読むのはかなり困難だ)。
読了後最初に思い浮かべた小説は村上春樹の『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』だった。あの作品は2つのストーリーがパラレル・ワールドのように進行する面白さがある。ところがこの作品は5つのストーリーが時間軸をずらしながら同時進行する。その5つがラストに向かって絶妙に絡み合う。むしろ近いのは映像作品でクリストファー・ノーランの『メメント』あたりかもしれない。このストーリーが最終的に絡み合う巧妙さと会話の絶妙さが伊坂ワールドの真骨頂と言うべきなのだろう。つまり、最後にいくほど伊坂作品は面白い。
その上に彼の作品群が相互に時間軸をずらしながら同時進行を始めている。この本で登場する黒澤は『重力ピエロ』にも登場する。著作を積み上げるたびにその傾向は増すだろう。こいつは凄い、と唸らされる作品だ。
初老の美術商とそれに「金で買われた」に等しい若い女性画家、シニカルでストイックな泥棒、新興宗教の教祖を神のように崇める若者、お互いの配偶者を殺す計画を立てる不倫カップル、職を捜し求めるうらぶれた中年男…。
それぞれに、lash(激しく打つ、濫費する)、lush(豊潤な、景気のいい)、 rash (無分別な)、rush(突進する、殺到する)lifeを送る人々の人生はところどころクロスオーバーしつつ、破局や大団円へと向かう…。
伊坂の2作目の長編にして実験的な群像劇。それぞれの人生の断片が、シャッフルされて順不同に並べられたかのようであるが、読み進むにつれ、それ以前のシーンが伏線としての機能を果たし、見事にストーリー全体が明らかになっていくような仕掛けが施されている。
実は断片が順不同に並べられたかのように見えるのは、お互いに交錯する登場人物たちの時間の進行に少しずつずれが生じているがゆえの錯覚であり、それぞれの登場人物の視点でプロットを確認すると、当然のことながら事象は時間通り進行している。
このまさに騙し絵のごときストーリーの仕掛けの表象がエッシャーの”Ascending and Descending”(「上昇と下降」)である←無限に上昇する城の回廊を兵士が黙々と登り続けるという やつ(作中、あれは城と兵士ではなく、修道院と僧侶であると指摘されているが)。
ある兵士にとっては、”2階から3階”の階段を上昇中なのだが、見ようによっては(別の兵士にとっては)”3階から4階”の階段を登っているような…。
試してはいないのだが、これらの断片的なシーンを解体して”順序良く”切り貼りしていっても、「上昇と下降」のように、始まりと終わりがつながって、ぐるっともどに戻ってしまうような仕掛けがなされているような気がしてしまうのも、伊坂マジックの術中に嵌っている証かも知れない。
この恐ろしく複雑なプロットを用いて伊坂が描かんとしたことは、詰まるところ「佐々岡」の言葉、
「昨日は私たちが主役で、今日は私の妻が主役。その次は別の人間が主役。そんなふうに繋がっていけば面白いと思わないか。リレーのように続いていけばいいと思わないか?人生は一瞬だが、永遠に続く」
に表れている。そして、伊坂は、最後に人生を肯定的に捉えて、こう締め括る。
”ラッシュライフ−豊潤な人生”
衝撃度では「オーデュボンの祈り」、読みやすさやエンターテインメント性では「重力ピエロ」に劣るが、才人伊坂を堪能できる一冊である。
複数の人物とその物語の交錯するいわゆる群像劇なのだが、構成の上手さはもちろん、えてして生真面目になりがちこの手のジャンルの中でこの軽快さはセンスですね(んー、この書き方はセンスないなぁ……)。ラストまで一気にもっていかれて感服、という次第です。
でもこちら、なんか騙されたような読後感もある。文庫の解説も含めて、読者に対するちょっとズルい罠が張ってあったようにも感じるし、技師の手元が少し見えているような。
一部同じ人物の登場する「重力ピエロ」には「私」という一人称の語り手がいて、その存在が物語に翻弄される読者の肩代わりというか代理人を務めてくれていた。だから意外な展開に驚きながらも、どこか著者と楽しみを共有する感覚(そーいうことってないですか?)があったような気がする。その違いは作家としての習熟度(「ラッシュライフ」の方が一年前に書かれている)によるものなのだろうか。
ところで日本語の「ラッシュ」と英語の「lash, lush, rash, rush」を掛詞のように同列に扱うのはちょっとピンとこない。LとRの距離感は、日本人が考えているよりかなり大きいはずなのだ。
評価が高いので購入しましたが、これほど早く読み終わらないかな〜と感じた本は今までありませんでした。話のはじめに画商が登場し、だまし絵が出てきた時点で、おや?と思いましたが、次々に登場人物が変わり、最後は繋がるのだろうと思いながらも、時系列に整理出来ず苦しみましたと言うか、楽しめませんでした。本来は、この展開を楽しむ本だと思いますが、私には苦痛の何ものでもありませんでいた。


















