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世に棲む日日〈1〉 (文春文庫)

世に棲む日日〈1〉 (文春文庫) 価格:¥ 580 
ブランド:文藝春秋
発売日:2003-03 通常24時間以内に発送

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カスタマーレビュー rank

功山寺に行ってきました。 rank

出張で広島に行った折り、念願の功山寺に行ってきました。

幕府と対決しようとする高杉が、必死に静止しようとする部下の頭上を飛び越えて馬で駆け下りたという、「功山寺の坂」を見たかったからです。

自分の選択が本当に正しいものと確信できるとき、他者の曖昧な意見の集約など必要ではないものなのでしょう。

そして自分の選択を即座に行動に移せるのは、稀有なことであるでしょう。

高杉晋作という存在が、今の世の中でも圧倒的に我々に迫ってくるのは、迷いのない行動にその本質があるのでしょう。

2008-01-29

時代を作った若者の生き様をいきいきと描く rank

説明はいらないでしょう。
あまりにも有名な、松陰と晋作の物語です。

当時、学ぶことは書物と人からであり、自分の思想を他人に伝播し、思いを同じにしていくことが、学派でした。
その思いは人から人に伝わり、松陰の思いは形を変えて昇華し、長州の国を変えて行きます。

このふたりのヒーローの生き様はすさまじく、常人には理解したがくそして畏怖を
感じるものですが、この作品では作者は市井の商人や、時代に流され筋を通せない
日和見、幕府によって右往左往していく今は記憶に残っていない長州の人々も合わ
せて書いています。
他の方のレビューにも詳しく熱く語られている二人以外にも、井上聞多や、山形有
恒など次代の明治を迷走も含めながらも作り上げていった人々も登場していきま
す。
彼らの性格や判断と松陰や晋作のものは、かなり異なっており、革命前期は松陰の
狂や晋作の動が必要であり、革命の後期においては、井上や山県の慎重さが必要で
あったのだろうと、時代が選んでいった人材の妙にも納得感心させられます。

幕末という日本史においても特異な時代、駆け抜けていった彼らの生き方は我々を
魅了してやみません。

2007-11-13

長州藩の七年 rank

司馬遼太郎が独自の解釈で吉田松蔭と高杉晋作の人物像を分析した小説。幕末の事象も長州藩の動きもこの二人の周りの事のみが詳しく記される。薩長同盟や禁門の変や池田屋事件はほとんど語られません。同じ長州でも桂小五郎や吉田稔麿や入江九一や大村益次郎や広沢真臣についてはほとんど記述がありません。久坂も高杉との対比で使われるぐらい。詳しく無い人には全体的な幕末史の勉強用としては少し不向きかもしれない。ただ松蔭と高杉の二人に関する人物分析は巧みですが、現代人の眼から見た想像上の解釈という感じがするのは否めない。二人の辞世の句を見ても、何かしっくりきません。他人がとってつけた感じがする。やっぱりその時代に生きた人でないと分からないのでしょうね。少しでも思想に近づくには孟子を十年くらい勉強した上で講孟余話を読むぐらいはしないと無理かもしれない。それはさておき、「竜馬がゆく」などでは存在が希薄だった伊藤や山形や井上、品川、山田、佐世八十郎(前原一誠)、野村靖(兄は入江九一)などの若き日の姿も描かれているし、晋作が大阪に潜伏中に徒然草を買い求めようとして幕吏に捕まりかけたエピソードとか西宮の港を守っていた籐堂藩の番侍が臆病だったという「老の思ひ出」からのエピソードも面白い。松蔭の幼年期の師匠でもあり叔父の玉木文之進はこの本を読む限り、物凄く出来た人です。玉木は維新後、前原一誠を旗頭とした萩の乱(この乱で玉木の養子の真人(乃木希典の弟)も戦死)に責任を感じて切腹します。まあこの様にエピソードも豊富ですので長州藩の事が好きな人は読んでおくべき本かも。

2007-05-13

修羅場をかいくぐった腹の据わり方 rank

幕末の混乱が上手く整理され、(僕のように漠然とした印象しかない人には)吉田松陰と高杉晋作の果たした役割に新しい発見があるようで面白いです。

面白い点は、革命の実行を三代に分けている視点、諸藩、特に薩摩と長州の違い、尊王攘夷思想の変遷の三点です。明治維新を松蔭の思想的根拠を築いた世代、それを乱世で実現していった世代(高杉、西郷、大久保、木戸など)、その乱世を片付け新しい権力社会をつくった世代(伊藤、山県など)で整理する視点にはなるほど、と思わせるものがあります。恐らく、第二世代の高杉は体質的に第三世代では活躍ではなかったのではないかと思われます(西郷がそうであったように)。また、長州があくまで思想団体として描かれるのに対し、薩摩が政略のみで動いた、とする洞察にも共感を覚えます。また、少なくとも晋作にとっては尊皇攘夷はあくまで倒幕のための戦略であった、という認識には(僕は)斬新さを感じました。

しかし、それにしても幕末には凄い人たちがいたものです。維新には印象の薄い、井上聞多や山県、伊藤にしてもそれなりの命を賭したリスクをおかしていることが分かります。特に井上の覚悟とここ一番の行動力はこれは凄い。明治の元老たちにはやはり、こういう修羅場をかいくぐってきた腹の据わり方があったのでしょう。

2007-04-25

胸を突く松蔭と晋作の師弟の物語 rank

青白く長い顔をし、書生然とした吉田松陰は、我々の想像を超えた人格的影響力を持っていた。
そのことは、彼が晩年長州の野山獄に入れられたときも、
余人が手に余す犯罪者達に、毎日誰かが先生となり勉強しようという彼の提案が受け入れられるのみならず、
終いには凶悪犯が松蔭の人格に触れ、「松蔭先生」と呼び出すところからも、
よくわかるのである。

一方で松下村塾の弟子達は、松蔭の偉大さがよくわからず、久坂玄瑞などは松蔭の盟友である熊本の宮部鼎蔵を訪れ
「松蔭先生は本当に人材なのでしょうか?」と尋ね、宮部に「小僧!おまえなんかに松蔭君の偉さがわかるわけがないわ!」と一喝されて帰ってきたりしている。
松蔭が処刑後、弟子達は各々がもらった松蔭からの手紙を持ち寄り、初めて彼らは師匠の考えの全体像を知る。
その弟子の中で、天衣無縫で痛快ともいえる活躍をするのが、高杉晋作である。
真実を知り怒髪天を突いた彼は、松蔭が罪人として粗末に葬られた墓を掘り起こし、
その骨を首から提げ、槍を持って一騎江戸城に入り、高々と復讐の宣言をし、疾風のごとく去ってみたり、京の神社での儀式に天皇家の後を進行する将軍以下幕臣らに向かって、町人の格好をして「いよっ!征夷大将軍!」と大音声を放って、幕臣達の悔し涙を流させたりもする。

彼の指揮する長州軍は見事に幕府軍を打ち破る。
その軍の一翼を担ったのが「幕府や藩を相手にしたのが一生の不覚。向後は民を頼みとする」との松蔭の言葉から、
晋作が作った百姓や相撲取りで構成された「奇兵隊」であった。
晋作は27の時、有名な「おもしろきこともなき世をおもしろく」との辞世の句を残して肺結核で死ぬが、その後幕府は遂に倒れる。

何度読んでも胸を突かれる師弟の物語である。

2007-04-07

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